パッシブハウスは、4kwエアコン1台で涼しかった

先日、愛媛県松山市にて完成したパッシブハウス(認定申請中)を見学させていただきました。この日、鳥取から四国への移動はじりじり暑く、車ではクーラーが欠かせない気温と湿度でした。

見学させていいただいた松山パッシブハウスⅢは、183㎡(55坪)の広さを4kWのエアコン1台できちんと涼しい家が完成していました。建てられたのはアーキテクト工房Pure(松山市)/設計はプラン・リーブル(香川県高松市)。

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そもそもパッシブハウスとは

パッシブハウスはドイツのファイスト博士が提案した持続可能性に配慮した住宅の推奨基準です。パッシブハウスと名乗るには、ドイツのパッシブハウス研究所が認める基準を満たす必要があります。

  • 冷暖房需要※が各15kWh/m2以下であること
  • 気密性能として50Paの加圧時の漏気回数が0.6回以下であること(≒C値0.2以下)
  • 一次エネルギー消費量(家電も含む)が120kWh/m2以下であること

が条件とされています。日本だとUa値がメジャーで目にすることのない基準ですね。今回の物件はUa値に換算すると0.21ぐらいとのことでした。

詳しくは下の動画(90秒)を。

イラストでわかりやすい説明なので、ぜひ!

ちなみに鳥取でパッシブハウスを建てようとすると

冷暖房需要は、日照条件や外気温によって変わるため、鳥取だとざっと断熱材を50%アップして、Ua値0.16ぐらいになるようです(高性能グラスウール16K換算で、天井600mm、壁300mm程度)。四国の温暖な環境が羨ましいですね。

エアコン1台で涼しいパッシブハウス

右側窓に外付けブラインド、電動で開閉&収納、例えると高性能すだれ

今回見学したパッシブハウスは、外はじりじりと陽ざしで汗ばむ陽気のもと、大人30人以上が入室させていただきました。玄関に入るとすっと汗が引くような感覚で、「冷房がきちんと効いているね」というのが参加者の感想として多かったと感じました。

この家は広さ183m2(55.43坪)と、 2世帯居住で大きめの住宅でしたが、4kWエアコン1台で全館空調、各部屋にダクトで送風されていました。家に30人訪れることはなかなかないですが、夏に冷房が効かない実家のことを思い出すとこの冷房性能はすごいなあと感じます。

2階リビングにて、アーキテクト工房Pure高岡社長から説明

4kWエアコン1台とはどんな能力か

松山パッシブハウスⅢに採用されていたエアコンは4kW、おもに14畳用の能力です。14畳というと一軒家のリビング+ダイニング程度の広さ。この家は110畳ですので、家の性能の高さがわかりますね。

エアコンの能力は「畳数の目安」で示されることが多いですが、 こうして体感してみると、畳数表示の意味って?と思ってしまいますね。ちなみに、この畳数表示は1964年に制定されてから変わっていないそうです。設計段階で性能の計算が出来ていれば、必要なエネルギーにあったサイズのエアコンを選定できますね。

採用されていたのは中央下のアメニティビルトイン型エアコン(14畳程度)

美しい木の外観

性能もさることながら、外観も格好良く、お施主さんが羨ましいなと思いました。性能が高いからといって、別に意匠が損なわれるわけではない、というのが素晴らしいですね。

わたしは外壁に木を使われている建物が好きなのですが、こちらもガレージ部分の外壁に木部が。つい写真を撮ってきました。

昨年訪れたオーストリア(スイスの隣)は木ばかりの外壁だったのと、「オーストリアは色々な形状の板で外壁つくってますよ」という話もあり、オーストリア素敵だったよなあと思い出しました。

おそらく杉材+塗装、優しい雰囲気

鳥取でも高性能な家を増やそう

終わった後は、おなじみ懇親会へ。各地の設計事務所や工務店の先輩方から色々なお話を聞き、明日からも頑張っていこうと思いました。山陰でもパッシブハウス級のエネルギーを使わない、環境負荷の低い家を増やせるよう、努力していきたいと思います!

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