準防火地域とは
準防火地域とは、市街地の火災被害を抑えるために、建築基準法上で指定された区域のことです。延焼を防ぐ目的で、建物の外壁や開口部(窓・ドアなど)に一定の防火性能を求めるなど、防火上の規制が設けられています。
どのエリアが準防火地域に指定されているかは、都市計画図や市町村のウェブサイト、または役所の窓口で確認可能です。指定区域の境界線は細かく定められていることもあり、隣接した区画でも準防火地域と非該当エリアが分かれている場合があります。
鳥取県・岡山県北部での具体例
- 鳥取県鳥取市
鳥取市中心部(鳥取駅周辺など)では、商業地や住宅密集地において準防火地域の指定がなされています。鳥取駅から県庁側の一帯で、松並町田園町のあたりから、立川町辺りまでです。
※鳥取市地図情報サービスから左上の切り替え、都市計画図を表示すると見ることができます。 - 鳥取県倉吉市
倉吉駅周辺から倉吉未来中心に向かっての道沿い、市役所周辺の白壁土蔵群のあたりが、準防火地域として指定されています。
※倉吉市都市計画総括図で確認できます - 岡山県北部
津山市では、JR津山駅周辺や中心市街地の一部が準防火地域に指定されています。
※きらきらつやまっぷの都市計画参考図→アルネ津山のあたりをクリックして、左側から準防火地域にチェックを入れると確認できます。
準防火地域で受ける制約
建築コストへの影響
準防火地域に指定されていると、防火性能を高めるための材料や施工が求められるため、割高になります。
具体的には、防火サッシ、防火ドア、耐火性能を備えた外壁の壁構成、防火ダンバー付フードなどがコスト増要因になります。
このうち、最もコストに影響するのは防火サッシで、感覚的には一棟50万~100万程度プラスになると思われます。
もちろん、配置の工夫などでかわせることもあり、隣地の距離によっては通常のサッシが使えるケースもあります。
デザインへの影響
こちらも最も影響するのはサッシです。隣地境界線または道路の中心部分から、1Fで3m、2Fで5m延焼の恐れがある部分については防火仕様となります。
普段トリプルガラスを使っている弊社としては、ラインナップが少なくなり選択肢が狭まります。防火トリプルの設定がない種類のテラスドアなどは、ペアになってしまいます。またスペーサーが金属になり、若干性能が落ちます。
また防火トリプルはガラスが重くなるためか、180cm×180cmのような大きな一枚のガラスが使えません。FIXはサッシの幅が78cmまでに制限されたり、大きな引違いにはシャッターが必要なので、外観にも影響が出ます。
配置の工夫などで開放感を出すよう努力したいのですが、コストが高くなるのが悩ましいところです。
また、サッシと同様の範囲に外壁の仕上げも防火認定が必要です。木外壁は、北総研さんの尽力によりできるようになりましたが、壁構成の指定を受けるので配線胴縁がやりにくかったりします。左官塗りも普段使う納まりが防火仕様になると使えず、ちょっと構成を変えることになります。
準防火地域のメリット
ここまで書くと正直ただの罰ゲームみたいですが、一方で、準防火地域は相対的に価値の高い土地であるという証拠です。行政がその地区は人が密集するエリアとして残すことを考えているから設定されているわけです。弊社としては、建物の価値も高くなるよう頑張っていきたいと思っていますが、土地は資産価値にとって建物以上に重要な要素です。
建築だけなら、準防火地域ではないほうがやりやすいのですが、、、当然経験もありますし、以前に比べればサッシなども選択肢が増えたほうだと思います。ご相談いただければ、精一杯努力いたします。