
まあ最近の住宅なら、昔と比べてしっかりしているので大丈夫でしょう!地震大国の建築基準法は強いはずですよ!
耐震等級3(品確法/許容応力度計算)を推す3つの理由と「やりすぎ」という意見に反論します
建てるエリアの地震発生確率が低くても大地震が起こる日本では、新築時に4-50万円のプラスで耐震等級3を目指すことは、地震後の修理や建て替えの費用を考えると高くないでしょう。
地震発生確率が0~8%の地域に「耐震等級3」で大地震後にそのまま住める家を建てることは、「やりすぎ」「コスパが悪い」「発生確率が低い」のどれにも当てはまりません。
建築基準法=地震後そのまま住める、ではない
まず現在、「建築基準法」に定められている構造の基準は、1995年阪神淡路大震災(震度7)の発生により、震度7でも倒壊しないよう改正された2000年基準(耐震等級1)と呼ばれるものです。
ただ、この基準は大地震時に「国民の生命」を守ることを第一としており、下図の【Ⅰ軽微】~【Ⅳ大破】までの損傷は想定の範囲内で、倒壊せずに逃げる時間と経路を確保するためのものです。つまり、地震後に住むことは目的としていません。





大地震後に【Ⅰ軽微】【Ⅱ小破】くらいじゃないと、修復もできないし、そのまま住めないねえ
その後、2016年熊本地震(震度7が2回)が発生し、耐震等級1の住宅では、想定外の【Ⅴ破壊(倒壊)】の建物が発生してしまいました。
地震後の熊本県益城町中心部の調査において、【無被害】または【Ⅰ軽微】~【Ⅱ小破】の損傷で済んだ木造住宅として、「耐震等級3」が注目されています。
「大地震には耐震等級3が有効である」という教訓から、(一社)くまもと型住宅生産者連合会が『耐震等級3のススメ』という冊子を発行しています。わかりやすいためキャプチャで紹介しますが、2枚目の右下表に「耐震等級3」の住宅にはどれだけ被害が小さかったか、調査結果が出ています。




地震はいつどこで発生するかわからない
気象庁は、「国内では地震が発生しないところも、大きな地震が今後も絶対に起きないところもない」と発表しており、また建築物に損傷のでる目安として「震度6弱以上」の地震を示しています。


次に下図の、政府の地震本部が発表した「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を見てみると、確率は0.1%や3%といったそれほど大きくない数字が並んでいます。


数字としては小さいのですが、地震が発生しないことを指すものではありません。その裏付けとして、過去の大きな地震の発生前における「30年以内の地震発生確率」は、下の通り高くありません。
1995年阪神淡路大震災:0.02~8%
2016年熊本地震 :ほぼ0%~0.9%(M7.0級)
2018年大阪府北部地震:0%~3%(3つの断層帯のどこかでM7.0級)
地震本部の資料/ 東京大学地震研究所教授平田直氏/東北大学岡田真介氏 より
そもそも費用は大したこと無い



耐震等級3の住宅は、結局高いんでしょうか・・・?
構造計算の外注費用と耐力壁の増分で、どんなにかかってもせいぜい4~50万ぐらいだと思います。
標準で筋交いではなく耐力面材を使っている工務店なら、資材のコスト増も小さく、構造計算の費用が増えるぐらいなので、もっと下がるでしょう。工務店内部で計算ができれば、ほとんど実際の費用はかからないに近いのではないでしょうか。
ちなみに構造計算のソフトは扱うのに知識はいりますが、概ね30万~50万ぐらいです。100棟計算すれば、3~5000円ぐらいなので、、、まあ工務店としては、買ってもいいかなと言う感じはしますよね。


建物の寿命を長くすることは、断熱と並んで、将来の出費を抑制する手段。どうせ建てるなら、きちんと建てたほうがいいですよね!