情報の海に溺れないための、家づくりのイメージの仕方

家づくりの情報は溢れているけれど・・・

世の中には建築に関する情報で溢れています。週末に工務店を回ってみたり、住宅雑誌を見てみたり、或いは、ネットで画像を探したりしている人も多いのではないでしょうか。

一生懸命知れば知るほど、どんどん住宅に詳しくなります。最近建てた友人も親切にあれこれと教えてくれたりします。いいものを建てるために勉強をするのはとても大切です。しかし、イメージを持つ段階では注意してください。写真映えする家の画像や、友人の経験に基づいたアドバイスも、あなたにとっての正解かはわからないのです。

コンセプトがあやふやなままでは、溢れる情報も取捨選択できません。

情報を集めすぎる前に、まずは憧れる生き方や暮らし方から、考えてみるのをオススメします。

憧れる生き方・暮らし方を探してみる

直接の友人でも、雑誌や本でもいい。生き方や暮らし方がいいなと思う人を探してみると、自ずとその人の家もその生き方を支えるように存在しています。

何かが欲しいという気持ちには、必ず背景があるはずです。たとえばわたしたちが「この食洗機を付けて欲しい」と頼まれれば、その食洗機を調達してくるしかありません。しかし、その根底にある「家事をできるだけ楽にして、趣味の時間を沢山とりたい」という気持ちに対しては、設計時に様々な手段を考えることができます。

住まい手と作り手が共有するべきは、この根底の部分です。

予算が限られていても、生き方や暮らし方のために、最大限家を寄せていくことは可能です。

僕がこれまでいいなと思った生き方・暮らし方

人生フルーツ

建築家アントニン・レイモンドに師事し、日本住宅公団のエースとして働いた建築家の津端修一さんと奥様の英子さんのご夫婦の家です。家自体はシンプルな平屋ですが、自ら指揮をとり作られたニュータウンの中に、雑木林を育て、70種の野菜と50種の果実が実るキッチンガーデンと共に暮らしています。できることは、できるだけじぶんで、と暮らしを手作りされる姿勢が美しいです。

Haruya Guest House

親方のところにいたときのお客さん。僕もかなり現場に通いました。最寄りのコンビニまで50分、積雪2mの超豪雪地帯ですが、広大な敷地に主屋とゲストハウスを建てて、地上の楽園みたいなことになっています。お子さんはホームスクーリングで育てられたり、木を植え、作物を育て、四季折々の山で遊び、既存の価値観に縛られない人生を体現しています。

フォーアールベルグ州の住居

オーストリア西部のこの州は、木材利用と超省エネルギーの住宅産業で世界的に有名です。鱗ように木片を貼り付けた外観が伝統なのですが、これが古びると銀色に色づいて格好良いのです。それを地域をあげて行っているので、町並みが美しいです。「アラブの石油王に貢ぎたくはない、わたしたちはここにあるエネルギーで暮らしていくのよ」と断言された現地の女性の方が印象的でした(熱源は薪ボイラーで全館暖房)。元々高断熱などを胡散臭く思っていた僕が、省エネルギーに傾倒したきっかけでもあります。

イメージができたら

イメージができたら、今の暮らしで気に入っている点、逆に不満に思う点、これだけはNGな点を3つずつぐらい上げてみましょう(絞ったのは優先順位を付けるためで、多くても大丈夫です)。それが、自分が考えた理想像に近いか、照らし合わせて考えてみましょう。ずれていないなと思ったら、多分それがいえづくりであなたが大切にしたいことです。

この内容を設計士や工務店に伝えれば、具体的に家のプランが進んでいくはずです。逆にこちらの想いにいまいち取り合ってくれないと感じたら、ちょっと相性が悪いかなと思った方がいいと思います。

おわりに

家を建てるという行為が、見栄や体裁で行われていた時期が長くありました。しかし、今はそのような時代ではありません。家ではなく、あくまでその先の暮らしと自分自身の価値観を真剣に考えるべきです。家を通じて、幸せな暮らしをする人間が一人でも増えることを願っています。

この記事を書いた人

田上知明

AFP・2級FP技能士 / 2級建築施工管理技士 / 省エネ建築診断士
東京で3年間の会社員勤務の後、自分の家を自力で建てることを志して、建築業界へ。自分の家を建てるはずが、お客さんの家ばかりを建て続けて、結局そのまま大工をするようにになってしまい、結婚を機に鳥取の智頭町へ移住。
美しい田舎で建てたり狩ったりしながら、ぼちぼち暮らしたいと思っていたが、意外と忙しいのと、自分の家がまだ建てられていないことが目下の悩み。