高断熱高気密住宅で、冬場に加湿が必要な理由と人間にとって快適な湿度

乾燥する時期になりました。この時期になると湿度の話が言われるようになります。乾燥感があると言われる高断熱高気密住宅の場合、果たして、どれほどの加湿が必要なのでしょうか。

相対湿度と絶対湿度

湿度には相対湿度と絶対湿度があります。わたしたちがよく見るのは、相対湿度。その温度の空気が含める限界に対して、いまどれぐらい水蒸気を含んでいるのか示した割合です。一方で、あまり目にしないのが絶対湿度。温度に関係なく、空気中にどれぐらいの量水蒸気が含まれているかを示します。

空気は暖めると、同じ体積当たりに含むことができる水蒸気が増えるため、相対湿度がさがります。逆に冷やすと相対湿度が上昇します。結露=相対湿度がその場所で100%になってしまった状態です。

相対湿度、絶対湿度、露点の関係を表したのが湿り空気線図です。

青山学院大学 空調C/Sシステム研究より転載

人間にとって適切な湿度とは

冬場における理想的な相対湿度はどれぐらいなのでしょうか。ある程度目標とするべき数字を、乾燥感を調査した研究論文と、インフルエンザウイルスの抑制効果の点から、20℃の50%を目標にするのがよいのではと考えています。

臨床の研究結果より

日本建築学会の論文で、乾燥感と室内温熱環境条件に関する基礎的研究というものがありました。

p.838,4-2より”「とても乾いている」という評価は、気温22℃以上に集中しているが、絶対湿度で見ると3~6g/kg、相対湿度で見ると、20~35%の比較的広い範囲に分布している。”

とあるため、絶対湿度が6g/kgを超えていれば、体感としての乾燥感が少なくなると判断します。

インフルエンザウイルスの抑制効果より

厚生労働省のインフルエンザQ&Aによれば、予防のためには50%~60%の状態を保つように書かれています。また、1961年の
G.J.Harper氏が書いた論文Airborne micro-organisms: survival tests with four virusesによれば、20.5℃~24℃で50%を維持したとき、6時間後に6.4%まで激減したと書かれています。

日経電子版より抜粋

理想の湿度における加湿の必要性

さて、それでは計算してみましょう。

冬場に室温20度相対湿度50%の室内環境を目標とすると、湿り空気線図から、

青山学院大学 空調C/Sシステム研究より転載

20℃50%の絶対湿度はおよそ7g/kgDA(グラムパーキログラムドライエアーと読みます、DryAir=乾燥空気)ですね。

冬場の外気が0度で、相対湿度80%としたときの、絶対湿度がおよそ3g/kgDA。

仮に全館暖房で家全体で気積400㎥の部屋の空気を0.5回/h入れ替えた場合、空気の質量はおよそ240kgになります。

気と室内の絶対湿度の差は4g/kgD・Aなので、入れ替えた分だけ室内の相対湿度が減少します。

つまり 4g/kgDA × 240kg=960ml/hの加湿がないと、20度50%が維持できません。

人体による放湿が概ね1人当たり2.5Lといわれているので、5人家族だとおよそ500mm/hの供給があります。従っておよそ400mm/hが不足。というのが、理論上の答えです。

加湿をすると結露する?

絶対にするわけではありません。断熱性能が低く、壁面ないし窓の表面温度が低ければ結露します。

20℃、50%の空気の露点温度は9.27度ですので、壁面で9.27度の面が発生しないよう断熱を行えていないか、性能の低い窓であれば、結露が発生します。

仮に表面で結露が発生しなくても壁の中に湿気を通さない防露ができていない場合、壁の中で水分が発生する可能性もあります。心ある設計士や工務店であれば、こういった事態が起きないよう、配慮したプランを考えてくれるはずです。

まとめ

  • 冬場の室内環境は20度~24度、相対湿度50%~60%程度が望ましい
  • 加湿をするときは、必要量を計算しよう
  • 加湿するなら、壁の内部に湿気が行かないよう防露処置をすることが大事

この記事を書いた人

田上知明

AFP・2級FP技能士 / 2級建築施工管理技士 / 省エネ建築診断士
東京で3年間の会社員勤務の後、自分の家を自力で建てることを志して、建築業界へ。自分の家を建てるはずが、お客さんの家ばかりを建て続けて、結局そのまま大工をするようにになってしまい、結婚を機に鳥取の智頭町へ移住。
美しい田舎で建てたり狩ったりしながら、ぼちぼち暮らしたいと思っていたが、意外と忙しいのと、自分の家がまだ建てられていないことが目下の悩み。