北海道と沖縄に同じ性能の家を建てても、気候が違うため実際の家の室温(を維持するための光熱費)は同じになりません。そのため、国のさだめる断熱基準も一律ではなく、全国を1~8の地域に分類した「地域区分」ごとにUa値(数字として0.46~0.87)が設定されています。
地域区分とは
地域区分とは、住宅・建築物の省エネルギー基準を達成するために設定された区分で、北海道から沖縄まで、日本を気象条件ごとに8つの地域に分類されたものです。
三協立山株式会社さんのWEBに、見やすい地域区分表が紹介されていました(PDFはこちら)
パソコンの画面なら、PDFで[Ctrl+F]の検索機能を使ってお住まいの市町村名を検索してみてくださいね。
本州~九州の半分以上をしめる「5地域」と「6地域」という区分について見てみると、北は福島県から南は宮崎県まで各地に設定されています。
5地域に該当する各県の代表的な地名
いわき市、宇都宮市、新潟市、水戸市、前橋市、さいたま市、野田市、八王子市、清川村、かほく市、福井市、山梨市、 川根本町、豊田市、伊賀市、大津市、京都市、堺市、姫路市、奈良市、橋本市、旧鳥取市、八頭町、岩美町、智頭町、松江市、岡山市、津山市、西粟倉村、勝央町、奈義町、広島市、山口市、三好市、新居浜市、いの市、八女市、雲仙市、阿蘇市、大分市、椎葉村
6地域に該当する各県の代表的な地名
鹿嶋市、千代田町、越谷市、いすみ市、東京都23区、愛川町、白山市、福井市、南部町、岐阜市、静岡市、名古屋市、いなべ市、大津市、京都市、大阪市、神戸市、和歌山市、鳥取市、松江市、岡山市、広島市、山口市、徳島市、高松市、松山市、高知市、福岡市、佐賀市、壱岐市、熊本市、大分市、都城市、伊佐市
※太字は智頭町および近辺の市町村です。
似た気候同士で比べてみる。智頭町と長野県飯田市の比較
鳥取県智頭町と1年を通して気候が似ている地域が無いか探してみたところ、長野県飯田市がほぼ一緒でした。しかし、地域区分が違います。智頭町は5地域、飯田市は4地域に区分されていました。あれ、気候が変わらないのにどうして区分が違うのでしょう、、、、
※気温と雨量の統計というサイトより、鳥取県智頭町と長野県飯田市の気温はほぼ重なっています
先日導入が見送られた断熱性能の義務化基準では、智頭町、鳥取市(5地域、6地域)共にUa値0.87が設定されていました。先ほど出てきた、飯田市は4地域なので、0.75。
ちなみに、0.87から0.75にUa値を変えようとすると、天井の断熱材(グラスウール16K)を100mmから200mに増やし、さらに壁の断熱材(グラスウール16K)100mmに、50mmのポリスチレンフォーム全周貼り付けるぐらいの違いです。結構金額的に変わってきますね。
同じ地域区分同士でも比べてみる。智頭町と八王子市の比較
5地域に東京の八王子市が入っているので比べてみました。ざっくり1月2月の平均気温で2度、最高気温で3度ほど違いますね。
また、太平洋側の関東地方は冬場がよく晴れます。逆に日本海側では、曇りか雪が多く、晴れ間はわずか。太陽光は侮れず、例えば冬至の正午であれば、窓ガラスからざっくり150W~180W/㎡程度(ガラスの種類によって変わります)の熱が取得できます。平均的なテラス窓でざっと500W。電気ストーブが1台あるのと一緒ですね。
結論:地域区分の精度はあてにならなそう
というわけで、国の地域区分は体感的にも気象データ的にも、そんなに正確に気候を反映している感じがしませんでした。補助金などでお目にかかる機会もあるかと思いますし、必要に応じて粛々と達成したら良いと思うのですが、この「地域区分」を元に、土地にあった省エネ性能を考えたりする意味はあるかといわれると??というところです。
追記:智頭町、鳥取市(5地域6地域)で快適さを求めると・・・
快適さは人によって感じ方が違いますが、ある程度エネルギーを使わずに「暖かい家」といえるのは、エアコン1台による全館暖房が狙える概ねHEAT20のG2レベル、鳥取県や岡山北部ではUa値0.34が目安になると思います。