断熱と気密の性能をあらわすUa値とC値は、日本で住宅の性能を比較するために、普及している指標です。比較できるのは良いのですが、実際どれぐらいを目指すべきでしょうか?
鳥取、岡山県北部であたたかい家、Ua値/C値はどれぐらいを目指すべきか
弊社の考えでは、新築をするのであれば、コストパフォーマンスと居住性、地球温暖化の抑制の観点から、
Ua値は0.34以下、C値は0.3以下が良いと考えています。
詳しく解説します。
おさらい、Ua値とはC値とは
Ua値 (W/m2K) :ユーエー値
Ua値は外皮平均熱貫流率といって、外皮面積あたりに損失する熱量を表しています。外皮面積とは、屋根・外壁・1階床または基礎といった外気に接する部分を合計した面積です。Ua値が小さい方が熱が伝わりにくいということ。外皮部分から熱が伝わりにくい構成とした高断熱の家は、国の基準の家より格段に少ないエネルギーで暮らすことができます。
C値 (cm2/m2) :シー値
C値は相当すき間面積(cm2/m2)といって、建てものの延床面積あたりのすき間の面積を表しています。120㎡の家でc値0.5であれば、60cm2=スマホの画面程度の隙間が家全体であるということですね。
C値の小ささを求める理由は、漏気による熱損失を防ぐため、計画した換気を行うためです。これは設計ではなく、実際に測定器を使い、現場で測定します。つまり一棟ごとに違いますし、計画通りに行くかは施工次第というところでもあります。もちろん、設計上気密が取りやすい納まりを意識していなければ、高い数字は出しにくいといえるでしょう。
Ua値C値の国の基準は
Ua値C値はどちらも値が小さいほど性能が良いとされます。まずは国の基準を見てみましょう。
Ua値0.87(5地域、鳥取市など)
国の現行基準(H28省エネ基準)では、日本全国を気象条件ごとに1~8の地域区分に分けていて、Ua値を設定しています。わたしたちの暮らす鳥取県智頭町や鳥取市、岡山県西粟倉村、奈義町、津山市といった中国山地周辺は5地域に該当します。先日義務化は見送られましたが、次世代省エネ基準では、5地域でUa値0.87という数字が設定されていました。
※5地域は北は福島県~南は宮崎県まで存在するため、感覚的に同じ条件で扱って良いのかという感じもしますが・・・
C値の基準なし
国の現行基準(H28省エネ基準)ではC値の最低基準はありません。H11(1999年)に一度、北海道と東北の一部にC値2.0、それ以南C値5.0という基準が設けられましたが、H21(2009年)の改正で消滅してしまいました。
Ua値は0.34以下を推奨する理由
将来光熱費や修繕も含めたコストと暮らしの快適さを考えると、概ねHEAT20のG2レベル、Ua値0.34以下が目安になると私たち考えます。(HEAT20について詳しくは2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会を見てみてください)このレベルの家ならば、日照の取れない鳥取県や岡山県北部の気候でも、8畳~14畳用程度のエアコン1台による全館暖房が期待できます。
もちろん家の性能が低くても各部屋にエアコンをつけるなどすれば暖かく出来ますが、光熱費やエアコンの設置費用、将来の買い換えのコストで長期的には損をする可能性が極めて高いです(詳しくは、工務店や設計事務所に試算して貰ってください)。また部屋ごとの温度ムラやエアコンの直風など、コスト以外の快適性も影響を受けます。
コストパフォーマンスも良い
延床30~40坪程度の総二階の家であれば、
- 天井:高性能グラスウール24K 300mm
- 壁:高性能グラスウール24K 充填100mm+付加断熱100mmの計200mm
- 窓:樹脂トリプルガラス
- 基礎:基礎外断熱防蟻EPS100mm、底盤下50mm(床断熱ならミラフォーム ラムダ100mm)
でUa値0.34は十分達成可能です。これ以上を目指すと断熱材をより高性能で高価な材料に交換するか、壁厚を増やす必要があり少し難易度が上がるため、Ua値0.34はコストパフォーマンスとしても良い水準だとわたしたちは考えています。
C値は3種換気で1.0以下、1種換気なら0.3以下
C値については、換気や熱損失を考えると1.0以下が目安です。これは3種換気(自然吸気→機械排気)でも、1種換気(機械吸気→機械排気)を採用しても同じです。
C値が2以上になれば、家にあるあらゆる隙間から室内に給気されてしまい、排気ファンを回しても十分に室内の空気を引っ張ることが出来ません。
また1種換気を採用した場合、給気は熱交換ができる給気口から行わなければ効果が発揮されません。しかし、C値1.0では換気口以外からの給気が半分以上になってしまうため、熱交換換気の性能を十分に発揮させようとすれば、C値0.3程度は欲しいところです。