家が高くなりすぎている

あれよあれよといううちに、家に関わるほとんどすべてのものが、2割ぐらい上がってしまい、正直心苦しい以外の何物でもありません。利益は変わらないのですが、4年前と比べれば15%~20%程高くお願いしている次第です。
純粋な建物の価格だけではなく、家計負担の増加の影響も少なくありません。
みずほリサーチ&テクノロジーズのレポートによれば、2021年度比で2022年度+9.6万、2023年度+4万、合計13.6万円も世帯の支出が増加したとのこと。(これは平均値で、我々のように地方に住む人間にとってはガソリン代の上昇も食らっているのでより深刻と思います。)
年間13.6万は月に変換すると1.1万円で、おおざっぱに言うと住宅ローンを300万円多く借りるのと同じ支出です。つまり、実態としては800万ぐらい負担額が上がってしまったことになります。
もちろん、技術の向上とかよりよい製品や資材の登場など、ボジティブな部分もあるのですが、全体としてはお施主さんにとっては明確に厳しくなったほうだ、と思います。
実はどの口が言うのかと思われますが、僕は家にお金をかけすぎることに対しては否定的な立場です。実際のところ建てなくてもいいのかもしれない。
もちろん自分なりに家に対する動機があって元請として仕事をしているので、付加断熱はしたい、トリプルも標準にしたい、見えないところは耐久性の高い部材を使いたい、職人さんにきちんとした対価を払いたいというところは譲りたくありませんが、一方でそうであるがゆえに、折角いいもの、良い環境なんだから、内装や設備も、、、となりがちです。
たしかに無垢材や塗り壁は好きですし、良い設備はいいですが、そうやって手の届かないものに家を仕立て上げていく、ということが果たして幸せか(僕やあなたや一緒に働く人や、ひいては世の中において、という意味で)、ということについてここ2年ぐらいモヤモヤしてきました。
なんですが、僕のやりがいと志向性、あるいは社会的な責任として、腹をくくってある程度価格を下げて行く努力をすべきだと思っています。
もちろん、性能については最高の仕事で、内外装も潤沢な予算で作りたいのだ、というご依頼もお引き受けできますし、そういう方の受け皿にもなれるとの自負はあります。ただし、作家性を追求するのではなく、あくまで生活必需品の供給者であるという立ち位置を堅守するほうが、弊社らしい。
とにかく中身をしっかり作ってほしい。そこについては相応の対価を払うから、ほかの部分を抑える工夫がほしい、作品をつくるような家づくりじゃなくていい。なんなら、自然素材にもそこまでこだわらない。というニーズにも、きちんと向き合うべきだと最近腹をくくったところ。
価格を意識するというのは、大資本を持っているところが圧倒的に優位なので、小規模事業者にとってはイバラの道だとは思います。しかし、事業として少し規模を拡大してでも、これまでよりも、もっとお施主さんの予算に敏感でありたいなあという決意表明。それでも建築費がそこまで安いとは言えませんが、生涯コストをミニマムに、お高くは留まらない工夫を凝らそうと思います。
僕も子供が生まれるのに伴い、2023年夏に自宅を建てたんですが、予算が守れるとか、月々の返済が少ないって、絶大な安心感がありますよね。