家づくりにおいては、まず建物の「基礎」がとても重要です。どれほど快適な間取りであっても、地盤が不安定であれば住宅の傾きや将来的な損傷が生じ、安心して暮らし続けることが難しくなります。特に、弊社がお仕事をさせていただく範囲ですと、鳥取市中心部は柔らかい地盤であることが多く、地盤改良判定が出ることが多いです。
地盤改良の方法には、主に下記のような種類があります。
- 表層改良工法
地表近くの土を固化材と混合して、比較的浅い地盤を補強する方法です。建物の規模や地盤の深さによっては対応できない場合があります。 - 柱状改良工法
地盤に深い柱を立てるように、固化材を注入・攪拌(かくはん)することで地盤を補強する方法です。ある程度の深さまで安定した支持を得られますが、土質や地下水の影響を受けやすく、工事時の計画や管理が重要になります - 鋼管杭工法
地中に鋼製の杭(パイル)を打ち込んで住宅の荷重を支持層へ伝える方法です。鋼管杭を使うことで高い支持力を得られるうえ、施工精度が比較的安定しやすい点が大きな特徴です。地盤の状態によっては、最も確実性の高い改良法のひとつといえます。
このうち表層改良は浅い部分にしか使えないため、ほとんど出ることがありません。実際は柱状改良や鋼管杭となりますが、耐久性・施工性・品質の安定などの観点から、当社では鋼管杭工法を採用することがほとんどです。
なぜ柱状改良や砕石パイルを採用しないのか
一般的に鋼管杭工法の方が若干高いと言われていますが、弊社の仕入れでは深さ8m以上になるとほとんど差がありません。地下水位や土質によってセメントを混ぜる際の硬化不良や、六価クロム等の有害物質が出る可能性があり、現場施工であることから、どうしても施工精度がばらつく可能性があります。もちろん柱状改良は長い実績の工法で、世の中に広く採用されており、不安感を煽るものではありません。
木造を主として手掛ける弊社は、柱状改良の施工ノウハウや施工能力を有していません。ノウハウを有していないということは、それの良し悪しを判別する能力が高くない、ということになります。現場でなにかトラブルがあったらどう判断するか、施工業者さんを信じないわけではないのですが、施工中におや、ということがあっても、弊社側で検出できるかわからないのです。
施工精度がよい点が最大の理由
柱状改良工法は地盤によっては費用を抑えられる点がめりっとですが、深い軟弱層や地下水位の高さが課題となる場合、十分に効果を発揮できない可能性があります。一方、鋼管杭工法は高い支持力と施工精度が期待できる一方、コストはやや高めになることもあります。しかし、工業製品ですので、現場に運び込まれた杭がすべて適切な長さまで垂直に打ち込まれていれば、ほぼ土質や施工の影響を受けません。
大工はいつもやっている固定メンバーでモラルが高いです。設備や電気も取り返しがつきます。仕上仕事は重要ですが、最悪直すことができます。しかし、基礎を壊して杭を交換する、というのは大変に大掛かりになり、事実上満足が行く形で交換することができません。弊社のスタンスとして、それなら安全側でという判断をしている次第です。