お客さんにも現場も自由に来れるようにしたいと思っているのですが、なかなか工具などもおいてありますし、工事用キーを差し上げて自由にどうぞ、というわけにも行きません。
また後から下地の位置や壁の中の状況を確認したいときなどは、現場で撮った写真を見ながら一生懸命探すのですが、取りこぼしも多いという課題感がありました。一方で、撮影をマニュアル化→チェックするというフローでは、チェックまでは作業を止めてしまうわけで現場の負担も重く、課題があるなと感じていました。
そこで、360度カメラで取ればいいじゃない!ということで、リコーのTHATAという360度カメラで撮影してみたこともあったのですが、定点で動かしながら撮影するというのは、スマホで写真を撮るより、なお負担が大きすぎ定着しませんでした。
そんなときにたまたまzenshotというサービスを運営しているsoftroid社の方が、僕のXのポストにいいねをくれことで、存在を知り問い合わせをして、トントン拍子で導入することとなりました。
ちなみに年間着工棟数が2024年度7棟の弊社は、規模的にサービスのターゲットではなかったようで、社内稟議を通してもらって、導入という形になりました。(単純に棟数の大きい企業のほうに今の営業先を絞っているだけ、ということでもあるようですが)
Zenshotの概要
360度カメラ持って歩き回ることで、マッピングしてくれるサービスです。
データは時系列で保存され、比較も可能です。
機材はsoftroid社から提供され、連動する通信付きのスマホがついているので、撮影後は勝手にアップロードしてくれるのがメリットです。撮影を繰り返すのではなく、歩き回るだけというのが大工にしてもらうということを考えると、ユーザービリティが優れています。
施主の満足度と現場管理の効率化に効く
Zenshotの導入は、施主さんと弊社業務双方にメリットを感じます。
- お施主さんのメリット:
- 現場に行かなくても、工事の進捗状況を、360度カメラで確認できるようになった
- 施工状況に対する不安が軽減された
- 状況が可視化されるため、建築会社とのコミュニケーションが円滑になった
- 弊社のメリット:
- お施主さんへの情報提供が、より正確かつタイムリーになった
- 現場写真の撮影、整理、送付などの業務負担が軽減された
- (おそらく)顧客満足度が向上した
お客様には概ね好評で、現場の齟齬も減ったと思います。弊社としてもリモートで確認をして、必要であれば画像をスクショして書き込みする形で現場に作業依頼を出せるので、施工精度の改善にも効いています。
壁の中を見たい場合も、いつでも戻れるのもメリットです。また導入する頃にリモートワークで設計担当を採用したことから、部分的に監督業務を引き受けてもらう、ということもできるようになっています。
運用上の課題
毎日取れない、撮影をしそびれる、というのが今のところの最大の課題です。
朝一番の撮影といいつつ、折角ならここを終わらせてから、という感じになり、帰り際取りそびれる、ことがあります。まあ、何が何でも朝撮って!ということにすればいいのかもしれません。
また、現場としては掃除がプレッシャーになります。これについては、僕はある程度片付いていなくてもいいと思っています。翌日同じ作業をするのであれば、その工程が終わったタイミングで掃除をする、というのは理屈に合う話ですので。
あとは、外部の工事をしている日は、撮影しなくてもいいということにしたので、晴れが続くと更新がされませんでした。
また、弊社比較的自信がある方ですが、現場の記録が残ってしまうので、潜在的には訴訟等のリスクを抱えるかもしれません。
今この瞬間は問題なかったことが、実は将来問題であったと発覚したとき、証拠が残っているので、逃げられないということになります。
まあこれは透明性の表裏なので、弊社としては望むところではありますが、企業規模が大きい会社などはちょっと大変かもしれません。施主さんに公開しない、内部管理用という運用もありますが、それだと少なくとも弊社にとっては価値が半減します。
まとめ
コスト感はサービスのウェブサイトで公開されていないため差し控えますが、弊社のメリットに対しては十分妥当と思います。引き続き標準仕様として、以降のお客様にはすべて撮影するようにするつもりです。