太陽熱温水器の導入を推しきれないわけ

1980年に年間80万台を超えた設置台数は、現在おおよそ3.8万台/年※1まで縮小しています。無動力で給湯を効率よく創れるシステムでありながら、なぜ普及が進まないのでしょうか。

※1 資源エネルギー庁webサイトより


そもそも導入コストと得られる熱量

導入コストは高効率の真空管タイプで一般的には40万~60万、平板タイプで25万~40万ぐらいです。
あくまで太陽熱で水をお湯に高効率で温める設備なので、特に冬場曇天が続き、積雪が見込まれる山陰では、単独では成り立たず、少なくとも補助的な給湯設備が必要になります。
ソーラーシステム振興協会によれば、年間156万Kcal程度の発電が見込めるとされています。(JIS A4111に定めらた性能基準1㎡あたり8374kJ/日≒74.3万Kcal/年×平均的な3㎡の集熱パネルの面積×実効効率70%とした場合)
これは、エコキュートで出せる熱量で換算すると2.7万円、LPガスで4万円、灯油だと2万円程度の年間削減効果、と言えるかなと思います。

エコキュートの接続が合理性が高い

電気単価が高騰した状況にあっても、単純にエコキュートの給湯単価は、都市ガス、プロパンガス、灯油ボイラに対して最安です。
また、太陽光発電で昼は余剰発電がでますので、おひさまエコキュートを使えばその発電分を売電ではなく自家消費に回すことができるため、ほぼエコキュートが給湯器として合理性がある選択になってしまいました。
しかしながら、エコキュートはそもそも水を貯めてからヒートポンプで沸かすように設計している機械ですから、太陽熱温水器を接続することができません。
わずかにある対応したエコキュートが長府などから発売されていますが、太陽熱温水器システム込みで実売で120万を超えてしまい、ちょっと導入に躊躇します。

投資回収期間が微妙

これを投資回収しようとすると、40万の設置費用を賄う、、、ということになるのですが、エコキュートの2.7万を割ると約15年。
さらに、太陽光発電が昼間のエコキュート分を削りますので、さらに投資回収期間は長くなってしまいます。
固定買い取り制度という補助があり、かつ様々なものに使えるエネルギー源である電力が創れるとなると、まずは太陽光発電に優先が向き、さらにそこに追加すると、システムが複雑化するのもデメリットです。

まとめ

熱効率が非常に優れたシステムだと思いますが、コストパフォーマンスが高くない、というのが実態です。
一番可能性があるのは、お風呂に独立して配管→水栓を別途つけるパターンで給湯器と独立して接続しない、というのがメンテナンスも考えると楽なのですが、それだとエコキュートのお湯も余ります。
調理にどうしてもガスがいい、乾燥にガス乾太くんが使いたい、という要望があり、LPガスを使うことが決まっていれば、給湯がLPガス給湯器になるので、このガス代を節約するために、と言う時ならおすすめできるかなと思いっています。

ほぼ無動力でお湯が創れるという価値は、環境的には勝ちがあるので、損得度外視で導入したい、というご家庭なら応援したいと思います!

目次