基礎外断熱のリスクは業界内でもよく言われるところですが、両側から挟むことによるコンクリートの耐久性向上、窓枠に次いで弱点である土台付近を断熱で覆えるため、結露のリスクや熱損失も少ないことから採用しています。 ※土間ポーチの処理もしやすいので、基礎内の良さもわかります。正直悩ましいところです。
前提として、乾燥した木材は食べられにくい。光をとても嫌うという修正があるため、木材が湿度を帯びるような納まりにしない。シロアリの侵入経路を露出させる、というのが最も有効な方法になります。
そのうえで考えられる対策は以下のとおり
弊社としては、現在1,3,5,6,7,8を採用しています。2は1が兼ねるので止めました。4は採用を検討していますが、1の対策がある限りコスト的にも見合わないと思っています。
1.土中に断熱材を触れさせず、コンクリートの露出部分を作る
そもそもアリが断熱材に達しないよう露出させます。内側にも断熱が必要ですが、基礎の打設も用意になります(GLとは地面の高さのことです)。
2.断熱材から直接木部に達しないよう、断熱材の天端にあり返し板金を仕込む
ガルバリウムや銅でアリが断熱材の裏側を這い上がってきても、表面に露出させて目視を可能にする方法です。覗き込んで点検をする必要があり、ちょっと面倒ですが広く用いられています。
3.防蟻系断熱材を使う
防蟻系断熱材は、一般にホウ酸系のパフォームガード、薬剤系のスタイロフォームAT、オプティフォームがあります。それぞれに一長一短がありますが、ホウ酸系はアリを寄せ付けない効果はないが、効果は永続的。薬剤系はアリを寄せ付けない効果があるものの、超長期で薬剤効果が低下する可能性を指摘されています(※ここについてはさらなるを予定しています)
4.食害を受けない断熱材を使う
ポリカーボネート樹脂を発泡させたミラポリカMPフォーム、発泡ガラス断熱材があります。やや高コストになります。
5.土壌処理を行う
一般的に土壌に散布します。撒き餌をしてシロアリを死滅させるベイト工法という方法もあり、薬剤散布量が少ないというメリットがあります。定期的に基礎周辺に巻くものとしては、アルトリセット200SCを推奨しています。
6.防蟻系防湿シートを使う
土壌処理の範疇にも入りますが、コンクリートの下に引く防湿用のポリエチレンフィルムに変わり、防蟻系のシートがあります。プラケンEXシート、アリダンシートなど
7.配管貫通部を土中に埋めない
見た目がちょっと良くないですが、排水配管貫通部を地面に埋めず立ち上がりから、露出させ目視しやすいようにします。
8.一体打ちまたは止水版を使う
基礎の水平部分と立ち上がりを通常二回打ちますが、止水板というものをいれることで、シロアリの侵入経路を抑制します。水平面と立ち上がりを一度で打つ一体打ちも可能ですが、基礎形状などによるため、標準採用はしていません。
まとめ
これは業界内でも様々な意見があり、有名なyoutuberだと、ウェルネストホーム、松尾設計室は基礎外断熱に批判的、高断熱系団体のパッシブハウスジャパンや、シロアリの少ない(またはいない)北海道の実務者は肯定的です。
しかしどの工法をとったとしても、一長一短があり、目視点検を免れることはありません。基礎の地面付近をぐるっと見て回る、というのが一番検査をしやすいという判断から、露出部を設けたうえで基礎外断熱に落ち着いています。